【ジブリ作品】についての、メンバーY田の雑感

 初めてあの「宮崎絵」を見たのは、金曜ロードショーでやっていた『風の谷のナウシカ』である (余談だが、ナウシカは金曜ロードショーでの放送回数第1位だそうである)。 6歳くらいの子どもにはその複雑なストーリーはよくわからなかったものの、「乗り物がかっこいい」という至極男の子らしい感想を口にしていたそうだ。 以後、ジブリ作品は、特にこちらから主体的に働きかけなくともテレビをつけていれば自然と目に入ってきて、ラピュタ・トトロ・魔女の宅急便・紅の豚など、だいたい観ていた。 大人になり嗜好が変わったのか、大学オーケストラの夏の演奏旅行後に福岡で観た「千と千尋の神隠し」よりも後の作品は、よく知らない。

 いくつか観て来た中で最も好きで印象に残っているのは、「魔女の宅急便」である。 子どもの頃はどうしてそれが好きなのか分析などしなかったが、今考えてみるとその平和さの象徴のような雰囲気が好きだったのかもしれない。 ナウシカもラピュタも紅の豚も「軍人」「武人」が出てきた(戦後日本が舞台のトトロには出てこない)。 その点、「魔女の宅急便」には何だかのんびりした時間が漂っていた。 誰も死なないし。また、魔法というとだいたいそれを悪用して人々を苦しめる悪い魔法使いが登場するものだが、この作品は魔法で人助けをするというのがよい。 主人公キキの選択は、空中を自由に使えることを活かした「運送業」だった。 よく考えられたストーリーである。 ネタをばらすことになるので詳細は書かないが、最後は人命救助まで成し遂げてしまう。 かっこいい。 このシーンはジブリ作品の中でも屈指の名場面だと思っている。

 他にも、欧風の美しい街並み、キキの成長を手助けしてくれる大人たち、同年代のナンパな少年、猫、ラジオから流れてくるユーミンの歌など、その魅力は語り尽くせない。 まだ観たことのないという方には、ぜひ一度観ることをおすすめしたい。

 なお、大人になってからまた何度か観て、ああこういうことだったのかと感銘を受けたのはラストシーンでの猫のジジのくだり。 成長するということは何かを失うことなのかもしれない。